とこしへ

さだまさし( 佐田雅志 ) とこしへ歌詞
1.さよならさくら

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

あなたの優しさに 甘えすぎたみたい
重い荷物には決して なりたくはない
何度も何度も思い直したけど
あなたに嫌われるほど 悲しいことはないから
最後の寝台列車で帰ることにする
故郷へ故郷へ花の散る前に
さよならさくら 忘れないでね
さよならさくら さよなら あなた

あなたの思い出を 鞄に詰めこんで
ホームでまだ冷たい風に 震えていた
何にも持たずに故郷を出て来た
何にも持たずに帰れば それで良いと思う
故郷訛りの老人の背中
さよならさくら 忘れないでね
さよならさくら さよなら あなた

最後の寝台列車が動き出したとき
ホームにあなたの姿が見えた
さよならさくら 忘れないでね
さよならさくら さよなら あなた


2.冬物語

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

君影草って呼び名があると
教えてくれたスズランの
ブーケを胸に嫁ぐ日を
夢見てた君を覚えてる

僕は若くて薄情で
君の愛すら質に入れ
知らん顔して酒を浴び
見知らぬ女に愛された

君を幸せに出来ないことが
解っていたから壊れてた
それでも互いの温もりだけは
信じていた 冬物語

惨めな僕を嘲笑いもせずに
見下ろしていた時計台
今でも胸に痛いほど
あの鐘の音を忘れない

都会へゆくと心に決めて
吹雪の駅で別れたね
ホームで凍る君を残して
僕は心まで捨ててきた

時は遙かに過ぎ去り今は
幾星霜のライラック
青春なんて言い訳は
綺麗事だと解ってる

やがて君が嫁いだことを
誰かの手紙で知ったとき
独りっきり声をあげて泣いた
宝物だった 冬物語

君影草って呼び名があると
教えてくれたスズランの
ブーケを胸に嫁ぐ日を
夢見てた君を覚えてる


3.ぬけみち

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

あなたのくれたぬけみちを
くぐってそっと会いにゆく
蓮華 菜の花 散る桜
花の頃なら許されましょう

あなたのくれたぬけみちを
守ってそっと帰る道
翡翠 蛍 糸蜻蛉
夏の宵なら逃されましょう

どうぞ秋風立ちませぬよう
野分にあの道閉じませぬよう
あなたの心が逃げませぬよう
不意にあなたが消えませぬよう

あなたのくれたぬけみちの
向こうに春が来ますよう
林檎 凩 虎落笛
冬の夜には 胸騒ぎます

どうぞ雪道吹雪きませぬよう
氷にあの道閉じませぬよう
あなたの心が凍えませぬよう
どうかあなたが消えませぬよう

あなたのくれたぬけみちを
くぐってそっと会いにゆく
蓮華 菜の花 散る桜
花の頃なら許されましょう


4.ちからをください

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

ちからをください どうぞちからをください
大切な人を護るため もっともっともっともっともっと
ちからをください

大切な笑顔があります
大切な心があります
大切な未来があります
大切な夢があります
小さなこの手であなたを支え
自分を支えるささやかな

ちからをください どうぞちからをください
大切な人を護るため もっともっともっともっともっと
ちからをください

護りたい生命があります
護りたい町があります
護りたい約束があります
護りたい全てのことを
悲しいこの手で抱きしめながら
あなたの笑顔を護るため

ちからをください どうぞちからをください
大切な人を護るため もっともっともっともっともっと
ちからをください

もっともっともっともっともっと
ちからをください


5.とこしへ

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

「とこしへ」とてのひらにそっと書いてみた
永遠や永久より遙かな匂いがした

あなたを想へば 僕の心に
浮かぶ言葉はいつも「とこしへ」
夏の暑さに 冬の寒さに
耐えて季節を待つ花のように

いつの日か いつの日か
しあわせになれますように
つつましく おだやかに
暮らしてゆけますように

「とこしへ」とてのひらにそっと握りしめた
悲しみや後悔が消えゆく匂いがした

過ぎ去った昨日を悔やまずに
まだ来ない明日を怖れずに
春の朝を 秋の夕べを
柔らかに過ごせますように

坂道を 坂道を
手を離さず歩き続けて
大切なあなたを
護ってゆけますように

いつの日か いつの日か
しあわせになれますように
つつましく おだやかに
暮らしてゆけますように

とこしへに とこしへに
しあわせになれますように


6.手紙

作詞:さだまさし
作曲:照屋林賢

あなたの夢見ました
とても悲しそうでした
胸の痛みで目覚めて
窓辺の花に救われた

春の曙
夏の青空
秋の白菊
冬の風

色とりどりの 景色の中で
いつでもあなたを 遠くで想っているのです
手紙をください
ひとこと「さびしい」と

会えば言葉になりません
会うだけで幸せだから
それで手紙を書いたら
もっと言葉にならなかった

春の朝焼け
夏の海風
秋の山の彩
冬の温もり

色様々の 暮らしの中で
いつでもあなたを 遠くで想っているのです
手紙をください
ひとこと「恋しい」と

色様々の 暮らしの中で
いつでもあなたを 遠くで想っているのです
手紙をください
ひとこと「恋しい」と

手紙をください
ひとこと「会いたい」と


7.秋麗

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

倒れかかった身体同士で
互いを支えあえたら人という文字になる
支えられたり支えたり
人は一人では生きられないと気づくもの
きっとあなたとふたり 生きてゆくと決めた
水篶刈る信濃 月は田毎に
残菊薫る 秋麗

夢見るように生きちゃいけない
人の夢と書けば儚いという文字になる
夢見たことを手に入れるには
夢から覚めなければ永遠に届かない
きっとあなたの生命 護ってゆくと決めた
黄昏白く 山に初雪
秋桜揺れて 秋麗

どんな苦労もいつかは過ぎる
水に戻すと書けば涙という文字になる
涙の色が教えてくれた
明日を本当に明るい日と書くために
きっとあなたとふたり 幸せに辿り着く
草笛遙かに 色づく林檎
桐一葉舞う 秋麗

秋去姫や 星麗


8.女優

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

涙こぼし別れ告げた 思いついた嘘で棄てた
けれど嘘と思いはしない そんな世界で暮らしてる
空はいつも青くはないし 水はいつも澄んではいない
風も吹けば雨も降るし 心の中じゃいつものこと
何が悪いのと言い聞かせ生きる 私は 女優

恋なんて幾つ迄 数えたら終わる?
悲しみの数よりは 少なくて 浅い
人生に一つだけ 命懸けの愛
抱きしめて抱きしめて 消えてゆきたい
嘘と本当のはざまで 溺れ死ぬのが 夢

顔色一つ変えないままで 別れの言葉を聞いた
むしろ笑顔でさようならと自分の方から告げた
流石一人になって吐くほど 泣いたけれど涙だけは
こぼさなかった明日も仕事 生きる中じゃいつものこと
何が哀しいと言い聞かせ生きる 私は 女優

芝居より酷い恋 演じてる振りで
痛くない顔をして 気づいてる孤独
寂しくて気が遠く なりそうな時も
幸せな振りをして 夢のように生きる
嘘と本当のはざまで 溺れないのも 女優

恋なんて幾つ迄 数えたら終わる?
悲しみの数よりは 少なくて 浅い
人生に一つだけ 命懸けの愛
抱きしめて抱きしめて 消えてゆきたい
嘘と本当のはざまで 溺れ死ねたら 女優


9.MOTTAINAI

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

豊かな時代に生まれて来たから 食べられるものが沢山あって
食べ残しても胸が痛まなくなっちゃったよ MOTTAINAI
例えば壊れた物なんかでも 修理するより買う方がずっと安い
まだ使えるのに捨てる物ばかりなんて MOTTAINAI

自由な時代に生まれて来たから どんな風に生きても勝手だって
働けるのに働かないなんて MOTTAINAI
ちょっと勇気だそう
自分さえ良ければいいってのは 自由ではなくって利己主義なんだよと
誰も教えてくれなかったなんて MOTTAINAI

心が痛い 冥利が悪い
もったいない もったいない もったいない もったいない

親が命懸けで生んでくれて それなりに必死になって育ててくれて
なのに自分だけで育った気になるなんて MOTTAINAI
転んだら怪我を心配し 離れれば健康を心配し
いつも子供の人生を思ってるのに気づかないのは MOTTAINAI

愛してもらうことを願うならば 愛することから始めたらいい
本当は愛に囲まれてるのに気づくだろう MOTTAINAI
愛されてるんだよ
誰もが自分本位だからって 心を閉ざしてしまったらきっと
誰かが気遣ってくれてもそれに気づかないよ MOTTAINAI

心が痛い 冥利が悪い
もったいない もったいない もったいない もったいない

平和な時代に生まれて来たから 平和がどれ程素晴らしいかに
気づかないからありがとうを忘れたね MOTTAINAI
生命を大切に
誰かの犠牲の上の今の平和が どれ程尊いかどれ程大切か
誰も教えなかったねごめんね MOTTAINAI
ごめんねごめんね

愛に溢れた時代なんだよ 本当は今世界に愛は溢れているんだよ
受け止める心が枯れているだけなんだよ MOTTAINAI
君を愛してる

こんなに豊かで平和な時代に 生まれて来たというのに
こんなに豊かで平和な時代に生きているのに MOTTAINAI

いつかは届く 必ず届く
この愛 この苦しみ この痛み やがてしあわせ

心が痛い 冥利が悪い
もったいない もったいない もったいない もったいない

いつかは届く 必ず届く
この愛 この苦しみ この痛み やがてしあわせ

心が痛い 冥利が悪い
もったいない もったいない もったいない もったいない


10.長崎の空

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

海風に乗せて汽笛が聞こえた
遠くで鐘の音が雲に消えた
君と出会ったあの夏の日も
滲むような虹色の夕暮れだった

遙かに時は 過ぎても
あの夏の祈り 忘れない
未来へ未来へ 想い伝えて

長崎 長崎 いつか必ず
長崎 長崎 また会えるよね

坂道の途中で君が手を振る
あの山の向こうに明日が見える
君の歌声は 届いただろう
長崎の空から 世界の空へ

いつか生命は 尽きても
あの夏の祈り 忘れない
笑顔へ笑顔へ 伝え続けて

長崎 長崎 いつか必ず
長崎 長崎 帰っておいで

長崎 長崎 歌をありがとう
長崎 長崎 愛をありがとう


11.記憶

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

今でも君に話しかけるよ 迷ったりとても寂しいときに
必ず君は答えてくれる
いつもいつもいつもいつも君らしく暖かく

おそらく遙か時は過ぎても 僕の心の中で君は
一緒に暮らしてきたと思う
だから思い出はこうして少しずつ成長する

あの角を曲がれば 色とりどりのサフィニアの
こぼれ咲く庭先で 君はいつも照れながら
笑顔で手を振った まるで青空のようだった

時折忘れてしまいそうだ やさしい君の声の響きを
それほど夢のように時は過ぎる
あっという間に僕もこんなに歳を取ってしまったよ

今でも君に話しかけるよ 笑ったりとても嬉しいときに
美しい物に出会ったときや
感じる全ての感動を君と分け合っているよ

あの海に帰ろう 色とりどりの貝殻を
子供のように集め 掌にひろげては
笑顔で笑ったね まるで春風のようだった

まもなく花の季節が終わる けれども君が教えてくれた
どんなに時が過ぎてゆこうと
花は咲き続けるまたいつか春が巡る限り

僕の中で咲き続けている 君のように